効能のメカニズム

はり治療のメカニズム
鍼(はり)治療は、体にある「ツボ」と呼ばれる場所に細い鍼を刺すことで、体の不調を整える方法です。
以下のようなメカニズムで効果があると考えられています。

🔷 鍼が効くメカニズム 〜科学的に見た9つの働き〜
① ツボ(経穴)刺激によって神経を調整する
  ツボを刺激すると、皮膚・筋肉・自律神経を通じて脳や内臓に  
  情報が伝わり、身体の働きが整います。    
  → 胃腸の不調、めまい、ホルモンバランスの乱れなどに有効です。
② 痛みをブロックする“ゲートコントロール理論”
  鍼の刺激が「痛みの信号」を遮ることで、脳に痛みが伝わりにくくなります。 
  → 腰痛・肩こり・神経痛などの慢性痛に効果的です。
③ 脳内に「エンドルフィン」などの鎮痛物質を分泌させる
  鍼をすると、脳からモルヒネ様の鎮痛物質(エンドルフィン・セロトニンなど)
  が出て、自然に痛みが和らぎます。
④ 血流を促進し、冷えやコリを改善
  鍼による微細な刺激で血管が拡張し、血のめぐりが改善。筋肉のコリや冷え、
  むくみの解消に役立ちます。
⑤ 自律神経を整え、心と体のバランスをとる
  交感神経と副交感神経のバランスを整え、不眠・ストレス・動悸・更年期の
  不調などに効果を発揮します。
⑥ 微細な「組織の傷」が修復反応を引き出す
  ごく小さな刺激によって「修復モード」が起動し、筋肉・靭帯・神経の再生が
  促進されます。
⑦ 免疫機能の活性化
  鍼刺激により白血球が一時的に増え、免疫細胞の働きが活発になります。  
  → 花粉症・アレルギー・感染症予防にも有効とされています。
⑧ 内因性のホルモンバランスを調整
  視床下部-下垂体-副腎系(HPA軸)に働きかけることで、ホルモン分泌の
  リズムを整えます。  
  → 月経不順・PMS・更年期障害などへの応用もあります。
⑨ 脳や中枢神経の興奮を鎮め、心を落ち着ける
  鍼刺激は脳波(α波・θ波)を増加させ、リラックスや瞑想に近い状態を
  引き出します。  
  → イライラ・不眠・神経過敏にも効果が期待されます。

🌸 まとめ:鍼はただの“ツボ刺激”ではありません。
「神経・血流・免疫・ホルモンのすべてにアプローチする、からだ本来の力を高める治療です。」

きゅう治療のメカニズム
もぐさを皮膚の上に点火することによって、その刺激が脳に入り、逆に脳からその刺激場所を治せ!という指令が出て、血液の循環、リンパの流れを良くし治癒を促進させる。また、皮膚の火傷によってできる火傷蛋白(ヒストトキシン)が、免疫力を高めるの体液の浄化作用によって疾病を治して行くものであります。

お灸ってなに?
お灸とは、「もぐさ(ヨモギの葉を加工したもの)」を体のツボにのせて、やさしく温める伝統的な治療法です。

🌿なぜお灸は効くのか
 ポイントは「温かさ」と「ツボ」の組み合わせにあります。

【1】温かさが血のめぐりをよくする
   お灸をすると、体の一部分がポカポカ温かくなりますよね?
   この熱の刺激によって、次のような反応が起こります:
   血管が広がる
   → 血の流れが良くなる
   → 痛みの原因物質や老廃物が流れていく

         たとえば、「肩こり」は血の流れが悪くなって筋肉が固まることで起こりますが、
         温めることで筋肉がゆるみ、コリがやわらぎます。

【2】ツボを刺激すると体が整う
   東洋医学では「ツボ」は身体のエネルギー(気や血)が流れる道のポイントです。
   お灸でツボを温めると:
   自律神経(体のバランスを整える神経)が整う
   → ストレスが軽くなる、眠りやすくなる

   内臓の働きがよくなる
   → 胃の調子やお通じが整うことも
        これは、皮膚からの温かい刺激が脳や内臓につながる神経に影響を与えるからです。

【3】体が「治そう」とする力を高める
   お灸の熱刺激は、ちょっとした「プチ火傷」に近い刺激です。
   それによって体は「修復しよう」と働き出し、
   免疫力(病気とたたかう力)をアップ
         炎症をおさえる物質を出す

こうした自己治癒力(自分で治る力)が引き出されるのです。

🌸まとめ:お灸のしくみをひとことで言うと…
 「温かさで血のめぐりと体のバランスを整えて、体が自分で元気になれるよう助ける方法」です。

灸はなぜ効くのか🔥お灸のひみつ〜科学でわかる9つの力〜
〜やさしい温もりに、ちゃんと理由がある〜

①  経穴による治効   
 ツボ(経穴)の力で体のバランスを整える
  体には「気・血」の流れがあり、ツボはその要所。お灸で刺激することで内臓や神経、  
  筋肉などの働きを整えることができます。
②  火傷蛋白(ヒストトキシン)による薬理効果。
  軽いやけど刺激が体を目覚めさせる(ヒストトキシンの作用)
  お灸の温熱で生まれる「火傷蛋白(ヒストトキシン)」という物質が、体の中で薬のような
  はたらきをして自然治癒力を引き出します。
③  白血球の増多によって食菌作用が旺盛になる。
  白血球が増えて免疫がアップ
  お灸をすると白血球が一時的に増えます。白血球は体内の「お掃除係」であり、
  細菌やウイルスと戦う力が高まります。
④  赤血球の増多による血色素の増量。
  赤血球と血色素が増えて、体が元気に
  赤血球が増えると、酸素を運ぶ力が高まり、全身にエネルギーが行き渡ります。
  疲れやすい方にも効果的です。
⑤  血小板の増多による血液の凝固性の増加。
  血小板が増えて出血しにくくなる
  お灸による刺激で血小板が増えると、けがをしたときの止血力が高まります。
  血管も強くなりやすくなります。
⑥  血液中の補体量の増加。
 補体(ほたい)が増えて病気への抵抗力が高まる
  補体とは、体の中でウイルスや菌をやっつける成分。お灸によってこの補体の量が
  増えることで、感染症などへの防御力が高まります。
⑦  免疫細胞の産生量の増加。 
 免疫細胞がたくさん作られる
  体を守る「免疫細胞(リンパ球など)」の産生が活発になり、体全体の防御システムが
  強化されます。
⑧  血糖量の増加。
  血糖値の変化でエネルギーを調整
  お灸の刺激で一時的に血糖が上がり、体が「エネルギーを作ろう」とする反応が働きます。
  これも自然な調整機能のひとつです。
⑨  血液中のカルシウムの増加。
  血液中のカルシウムが増える
  カルシウムは神経や筋肉のはたらきに大切なミネラル。お灸でその濃度が高まり、
  筋肉のけいれん予防や神経の安定化につながります。

🌸 まとめ:お灸は“自然な薬”のような存在
「ツボを温めるだけでこんなに変わるの?」と驚くかもしれません。 
けれど、お灸は体の中でさまざまな科学的反応を起こしながら、
本来の力をゆっくりと引き出してくれるのです。

間接灸(かんせつきゅう)
お灸と皮膚の間に隙間をつくってするお灸
直接灸(ちょくせつきゅう)
昔ながらの皮膚に直にするお灸